【出展情報】『PostTown Bricolage』企画&会場設計担当

企画展『PostTown Bricolage』を開催いたします。この企画展は二部構成となっております。第一部はカオスラウンジ主催の『ISETAN ニューアーティスト・ディスプレイ』内での展示、第二部は中央本線画廊内での展示となります。この企画は来年以降に「都市・風景」にフォーカスした大きな展覧会を実現させるまでのプロローグでもあります。展覧会実現までに「都市・風景」をテーマにした展示を連続的に開催していく予定です。その出発地点として新宿から始めたいと思います。

http://chuohonsengarou.tvvt.tv/archives/146


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『PostTown Bricolage』

第一部〈伊勢丹新宿店〉

会期:2017年5月31日(水) – 6月6日(火)

開廊時間:伊勢丹新宿店営業時間 10:30~20:00

会場:伊勢丹新宿店本館5階

第二部〈中央本線画廊〉

会期:2017年6月9日(金) – 6月15日(木)

開廊時間:15:00-20:00

会場:中央本線画廊(東京都杉並区上荻4-6-6)


 

『PostTown Bricolage』

表題のPostTownとは宿場町を指す英語である。

新宿という名前の由来は、江戸時代、甲州街道の宿場、内藤新宿から始まる。

内藤新宿は次の高井戸宿までの距離が日本橋から遠すぎるため、

“中継地点”の必要性から開設されたのである。

以後、新宿の繁栄にはさまざまな環境が関わってきた。

昭和以後に繁華街として栄えた背景には関東大震災がある。

当時の繁華街であった銀座や浅草に比べて、地盤が堅牢であった新宿は大きな被害を逃れることができたのだ。

斜面崩壊計算を専門とする伊藤允彦の地図作品、《新宿都市(=地形)変位図》はさらに長いタイムスパンから見た新宿のすがたを示すだろう。

そこには数万年単位の構造に支えられた新宿の前提条件が描かれる。

戦後は闇市の拠点として、非公式ながら先駆的に商業活動の拠点となり、やがてそれは本格的に商業、娯楽、演劇の中心地へと推移・変容していく。

1960年代においては、アングラカルチャーのメインスポットでもあり、新しい形式の喫茶店が若者の交感の場になった。

歌舞伎町に代表されるような、ごった煮で変化に富み、実験的で活発な交流の場というイメージはこの時代に育まれる。

双子の画家、竹下昇平と竹下晋平の作品は、都市の持っている力学を描き出そうとする。

竹下昇平の《正しい偽装》は、都市の力の流れを直観に従い描写することで、そのすがたを浮かび上がらせようというものである。それは都市のダイナミズムの絵でありながら、同時に自然の生命力のかたちのように見えるかもしれない。

それに対して、竹下晋平の《向き不向き》は、都市の流動性を画面のどこから見ても鑑賞することができる絵画として表現しようと試みる。それは変わっていく都市の絵でありながら、同時に都市の静的なすがたのように見えるかもしれない。

時代を進めて、1970年代からは新宿副都心開発が行われ、そして90年代の都庁移転と再開発を経て、超高層ビルや複合商業施設が並び立つ、現在の私たちが思い描く新宿のすがたになっていく。

シゲル・マツモトの《欲望のメガストラクチャ_attempt.001》の重要なモチーフは「摩天楼」である。建設当時から陥没孔や漏水が周辺地域に起こっていることでその地盤の危うさを指摘されながら2017年4月にグランドオープンしたソウルのロッテワールドタワーから着想を得た彼は、人間の欲望が境界を越えて地表を覆い広がり、そして摩天楼をその臨界点として表象させる振る舞いをコラージュで象り、その景色の一切合切を純粋な平面たるテクスチャへと再び還元してしまう。

秋山佑太の《路上還元録 ~新宿~》は廃材となった規格資材の木片から、建築模型のようでいて不規則な形態を持つオブジェクトを形成して、それを新宿に配置した写真からなる作品である。廃屋的なものと都市的なものが同居する奇妙な空間から、現代の都市イメージへの介入を試みる。

そして、杉本憲相の作品《本当の愛はここにない~この世界の片隅でアイを叫んだけもの~》は秋山の木材とは対照的にコンクリートやモルタルといったビルを構成する建材に、断片化したアニメキャラクターを描くことで、二重化した解像度によって都市的な世界の終末を想像させる。

ここで、表題のもう一つの単語、Bricolageについて説明したい。

ブリコラージュとは、設計図や計画に基いて物を作るエンジニアリングとは逆の概念で、その場で手に入る端切れや余り物を部品として創造的機知から、本来の部品の用途を越えた新しいものを作り出すことである。

新宿を「PostTown=宿場町」と見立て、わたしたちは様々なオブジェクトやイメージの断片からブリコラージュしていくこの作品群を”PostTown Bricolage”と名付けて、展示する。

今、当たり前のように存在しているもの

それはもっと大きな構造の上に成り立っている

今、当たり前のように存在しているもの

それはもっと流動的な状態の一時期にすぎないのかもしれない

時間と空間をもう少しだけ伸び縮みさせ、オブジェクトとイメージを対比し、その時々に遭遇した断片を組み替え、組み上げることで、わたしたちの持つ”今ここの認識”よりも、もっと広がった”想像”へアクセスしていきたいと思う。

その”想像”の旅に出る最初の”中継地点”を、この新宿から始めたい。

中央本線画廊 丫戊个堂


【参加作家】

竹下昇平 Takeshita Syohei

1990年生まれ。画家。家や植物などを中心とした郊外の風景をアクリル絵の具によって描く。

[主な活動履歴]

2015年 個展 「眺めのいい部屋」 (高円寺pocke)

2016年 写真家新井五差路との二人展 「すべて眺めのいい」(spiid)

2016年 カオスラウンジ 市街劇 「地獄の門」 参加

2016年 水野健一郎主催 グループ展  「得体」 参加

2016年 「BARRACKOUT/バラックアウト」展参加

2017年 竹下双子展 「フォースも覚醒」 (中央本線画廊)

竹下晋平 Takeshita Shinpei

1990年生まれ抽象とも具象ともとれない絵画を制作する他絵本等も手がける。
[主な活動履歴]

2016年 カタ/コンベ主催「KITAJIMA KOUSUKE#13

~池と怪物編~」

2016年 カオスラウンジ 市街劇 「地獄の門」 参加

2016年 「BARRACKOUT/バラックアウト」展参加

2017年 竹下双子展 「フォースも覚醒」 (中央本線画廊)

杉本 憲相  Kensuke Sugimoto

1991年三重県生まれ。2016年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。キャラクター表現や風景、物質やイメージの解像度等を題材に、絵画、オブジェ、インスタレーションを制作する。

[主な活動履歴]

2017年  個展「風景と亡霊」/ 芸宿 (石川)

2016年  個展「VOID ISLAND」/ コンフリ (茨城)

2016年 “KITAJIMA/KOHSUKE”#13~池と怪物編~ / カタ/コンベ (東京)

2016年 MORPH / 元・立誠小学校 (京都)

2015年 しゃがみ弱パンチ美術館inコザ銀天街「52Hz」/ コザクロ (沖縄)

2013年 GEISAI#18 / 東京都立産業貿易センター台東館 (東京

 

弓塲勇作 Yuba Yusaku

1983年愛知県生まれ。リズム・反復と物語・スケールの探求する画家。ワンフレーズ・ポリティクス所属。

[主な活動履歴]

2017年 個展「無頼の画家♡(ハート)」 /  中央本線画廊

2016年 個展「ヤポネシアの赤い空」 /  momurag (京都)

2016年 二人展「現実の鍋」/ ゲンロン カオス*ラウンジ五反田アトリエ

シゲル マツモト Shigeru Matsumoto

1985年東京都生まれ東南アジア育ち。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン哲学部卒。外資系メーカー日本支社にてマーケティング職。2017年初頭より異動につき韓国・ソウル在住。ワンフレーズ・ポリティクス、桃源郷ハッピートリオ所属。

[主な活動履歴]

2016年 新芸術校一期成果展にて観客賞受賞。

2016年 カオス*ラウンジ新作展『風景地獄ーとある私的な博物館構想』に参加。

2016年 カオス*ラウンジ五反田アトリエにてペインター・弓塲勇作と二人展『現実の鍋』を開催。

2017年 《危機の時代のオルタナティブ・アート》展に参加。

伊藤允彦 Masahiko Ito

1987年静岡生まれ。2011年静岡大学大学院農学研究科環境森林科学専攻修了。林業の技術職員として林道工事及び森林計画等に従事。現在は情報政策担当部署に配属。斜面崩壊愛好家。

[主な活動履歴]

2016年「BARRACKOUT/バラックアウト」展に参加

秋山佑太 Yuta Akiyama

1981年東京都生まれ。高校時代から建築インテリアデザイン及び大工職人の技術を学ぶ。建造物を扱った作品の制作。展覧会の空間設計と会場施工も作品に取り込む活動を行う。2017年に中央本線画廊を立ち上げ。

[主な活動履歴]

2000年 東京国際家具見本市出展 (東京ビックサイト)

2002年 『ア チェア イズチェア』  (原宿バージョンギャラリー)

2002年 2003年 『東京デザイナーズブロック』参加

2016年 カオス*ラウンジ新芸術祭2016 市街劇『地獄の門』出展

2016年 カオス*ラウンジ・UDOK共催 市街劇『小名浜竜宮』出展

2016年 『サイトスペシフィック疲れと、場所の憑かれ』の会場設計・出展

2016年 『BARRACKOUT バラックアウト』企画・会場設計・出展

丫戊个堂 Abokadou

1978年山形県生まれ。2010年頃からネット配信者として活動。GP総帥、博士(歯学)、古武道研究会・柔剣雷心会師範代。2016年ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校一期成果展にてトラックコンテナで独自の会場を作った《GPの咆哮》で銀賞受賞。2017年2月には自宅を会場にし、プライベートとパブリックを交錯させつつ、現代的メディア環境について考察する《危機の時代のオルタナティブ・アート》展を行った。

【サポートスタッフ】

石山 律